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「あ…」
遥斗は思わずコジロウを捕まえたままその場で固まった。
先程あんな事を言ったばかりのため、顔を合わせるのに気まずさがあった。
そんな遥斗をよそに、隣にいるコジロウは嬉しそうに尻尾を振りながら双方の顔を交互に見ていた。
「……」
気まずさを感じて動くことの出来ない遥斗に対し、目の前に立つ未緒は指に止まっていた雀を一旦空へ返すと、コジロウの前にしゃがみ込んだ。
未緒はゆっくりコジロウの頭を撫で、じっと目を見つめていた。
撫でられているコジロウ自身も未緒の目を見ながら嬉しそうに尻尾を振り続けていた。
「そうか、お前、コジロウと言うのか」
「え…」
突然未緒の口から出た言葉に遥斗は思わず目を丸くする。
その様子をちらっと横目で見る未緒だったが、気に留めることなくそのままコジロウとの会話を続けた。
「お前、小さい頃から彼といるんだな。彼が笑っている時も、悪戯してお兄さん達に怒られてる時も……おねしょをして次男の颯次さんに笑われてー…」
「ぅおいっ!?」
遥斗は知っているはずもない自分の過去を淡々と話し出す未緒に思わず突っ込みを入れる。
「な、なんでお前が、そんなこと知ってんだよ!?」
遥斗は恥ずかしさのあまり顔を赤く染め、落ち着きのない様子で未緒を問い詰める。
そんな遥斗に未緒は呟くように答えた。
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