◇序 章◇

3/3
前へ
/389ページ
次へ
 父上は決して自分のことを名前で呼んだりはしない。  なぜなら自分は父上にとって『道具』でしかない存在だから。  父上はよく自分に言う。 『感情とは一時の精神の働きであり、心の邪念に過ぎない。 感情を捨て、父の言うことだけを聞いていればいい』と…。  自分はその言いつけを守り、父上の言うことだけに従い、今までを生きてきた。  どんな状況に置かれたとしても感情を殺し、父上の言葉のみを聞き入れ自分の体を動かしてきた。  例えそれが法で認められていないことだったとしても…。
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1857人が本棚に入れています
本棚に追加