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「未緒様、応接室にてご家族の皆様がお待ちでございます」
部屋の扉をノックする音に続いて、扉の向こうから執事,要の声が聞こえてくる。
塔を出てから車で数時間走ったところに東宮寺家の屋敷があった。
屋敷に着くなり東宮寺家の主は準備があると一旦未緒と別れ、未緒は要に連れられ屋敷の中を案内される。
「未緒様、こちらが今日からお使いいただくお部屋でございます」
屋敷の二階の角部屋に未緒を連れてきた要は部屋の扉を開き、未緒を中に入るよう促した。
それに従い警戒しつつ部屋に入った未緒は、足を踏み入れるなり思わず目を丸くした。
きちんと整えられた内装。
小さな棚の付いた勉強机に、ふかふかで柔らかそうな可愛らしいベッド。
更に奥の部屋に入ると、そこには広いバスルームまでもが設置されており、この部屋には今まで未緒が持っていなかった物が全て揃っていた。
「念の為、必要な物はこちらで揃えさせて頂きました。全て未緒様のためにご用意させていただいたものですので、どうぞご自由にお使い下さい」
要はにっこり微笑みつつ、未緒に何処に何があるかを説明した。
未緒はそれをただ呆然と聞いている。
一通りの説明が終わった頃、要は主と同じく準備があるので一旦仕事に戻ると言う。
「それでは私はこれで一旦失礼させて頂きます。また後ほどお迎えに参りますので、それまでごゆるりとお寛ぎなさいませ」
要は扉の前で一礼するとそのまま部屋を出て行った。
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