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「なあ、遥斗…正直、左目を見たか?」
「えっ…いや、あの…」
「正直に答えろっ」
「ッ……あ、ああ、見た」
「そう、か…」
戸惑いがちに頷く遥斗に未緒は一瞬目を伏したが再び視線を遥斗の方に向ける。
「遥斗は、この目に纏わる話を…知ってるか?」
「え…」
思わぬ質問だったのか、目を丸くする遥斗は躊躇しながらも首を縦に下ろすと徐にオッドアイに纏わる昔話を口にし始めた。
「…その昔、ある貴族の家にオッドアイを持った子どもが産まれた。その当時、髪の色や肌の色の違いで様々な差別や偏見を持たれていたため、その子も例外なく周りから偏見の目を持たれていた。けど、その子の親は周りにどんな目で見られようと子供を育てていくことを誓い、我が子を愛した」
「だが、そんな愛のある家族に悲劇が舞い込んできた」
一人ベッドに腰を下ろしていた未緒は不意に遥斗の言葉を引き継ぎ、そのままその続きを口にする。
「…その子が産まれてから間もなく、父親の会社の株は暴落し、母親は不治の病にかかり、挙げ句の果てには家が火事になるなどと、その一家は一瞬にして全てを失うことになった」
「その後、何度か災難があったものの、何とかその一家は助け合い一日一日を生活していた。だが、ふとそんなある日、父親はあることを思った。『自分の運が無くなったのは、この子が産まれてきてからなんじゃないか』と…」
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