◇第三章◇

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 未緒はどこか苦しそうな表情と口調を浮かべながら重々しくその続きを語る。 「子どもが産まれる前までは会社の株も安定していて大きな家にも住み、最高の結婚生活を送っていた。だが、その子が産まれてきた途端、株は暴落、妻は病に、そして家は火事…。父親は次第に全ての元凶は子供のせいだと思うようになっていった」 「…それからというもの、その子への扱いは急変し酷いものとなった。周りからは相変わらず冷たい目で見られ、実の親には見捨てられ、仕舞いには家族の名前さえも奪われた。そして、その代わりについた名前が…ー」 「悪魔の子…」 「……」  暫く黙っていた遥斗は未緒の言葉に続くように口を開き、その言葉に未緒は思わず口を閉ざす。 そして一つ息をついた後、再び口を開けた。 「この話をキッカケに、それ以来オッドアイを持って産まれてきた子供は、そのたびに悪魔の子として今でも冷たい目を向けられ、場合によっては、存在すら消されてしまう子どももいる…」 「……」 「特に、その不幸をもたらしたとされる子供が、たまたま片目が赤だったために、自分のように赤目のオッドアイを持って産まれた子供は、他の子供よりももっと冷たい仕打ちを受けている」  未緒は自分の両手を見つめながら、実の父に今までやらされてきた事柄を思い返す。 「…そんなオッドアイを持つ子供達は必然的に周りからバレないようにと様々な工夫を凝らして今の世を生きていくようになった。自分のように、コンタクトを入れて隠している子供だって少なくはない」  先日、未緒が前髪を切ることに躊躇したのも、いざという時を考えて伸ばしていたことからだった。  そっと軽く左目に触れるように手で目を覆う。
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