◇第三章◇

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「誰にもバレてはいけない…。そんな決意が自然と自分達の中で芽生えていく。…バレたら、何をされるか分からない…自分達はそんな不安を抱えながら毎日を生きている」 「未緒…」  まるで自分を守るかのように両腕で体を包む未緒に、遥斗は静かに口を開いた。 「俺、知らなかった…。今の今まで、オッドアイを持つ子供が話以上の扱いをされてたのを……正直俺、ずっとオッドアイに憧れてたんだ。人と違う目を持ってて、カッコいいってずっと思ってた」 「……」 「けど、実際は違ったんだな…」  遥斗は自分の浅はかな考えに悔むように下唇を噛み、握り拳を強く握る。 「…俺、約束する」 「え…」 「このこと、誰にも言わないって約束する」 「…いいの? もしかしたら自分だって話にあったように、この家に不幸をもたらすかも知れな…ー」 「うっせぇ! 俺が約束するって言ったら約束すんだよ!!」  未緒の言葉を遮る遥斗意志は頑として譲ろうとはせず、真っ直ぐな瞳で未緒を見据えていた。  遥斗の瞳の中に未緒が映る。 じっと見られているにも関わらず、決して目を逸らす様子が見られない遥斗。  そして未緒は、その瞳を見つめながら静かに首を縦に下ろした。  それから暫く、未緒は遥斗と共にオッドアイについて色々話し合っていた。 オッドアイを持つ子供がどんな風に世を渡っているか、なぜオッドアイの子が産まれるのか。 話し出せば次々と話題は出てくるが、時間は無情にも刻々と過ぎていき、翌朝部活の朝練がある遥斗は最後に再び誰にも言わないと約束を交わし、自分の部屋へと戻っていった。  再び部屋に一人になった未緒は、徐々に日課になり始めてきた日記に文字を走らせ、この日は早めにベッドの中へと潜り込んだ。  今まで一度だって自分の瞳について話そうとなんて思わなかった未緒は、なぜか遥斗にだけ自らの口から話していた自分に疑問を抱きながら、未緒は吸い込まれるかのようにそのまま深い眠りについた…。
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