◇第四章◇

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「あれ? なんだ、お前ら顔見知りだったのか?」  未緒と拓人の態度に首を傾げる遥斗。 「ああ。クラスメートだよ」 「そうそう、昨日仲良くなったんだよね、未緒ちゃん! ってか遥斗、僕のクラスくらい覚えといてくれてもいいじゃないか!」 「ん? ああ、わりい、わりい。クラス替えしてからまだあんま覚えてねえんだよ」  ほら、この学校クラス多いだろ? と苦笑を浮かべながら遥斗は頭の後ろを掻いた。  そんな二人の親しげな会話に今度は未緒が首を傾げて質問した。 「二人は、知り合いなのか?」 「あ、うん、そうだよ! 遥斗とは幼稚部の時からずっと一緒なんだ! まあ、その時の遥斗は今と違ってもう少し素直だったけどね」 「あ? 俺はいつでも素直じゃねぇかよ」 「えぇ~、中等部の時、サッカーボールで窓ガラス割って他人のせいにした人が言う?」 「バッ…それはあの時チャラにしたじゃねえか! お前、まだ根に持ってるのかよ」 「さあ、どうでしょう?」  慌てる遥斗の反応を楽しむように笑う拓人に遥斗は溜め息をつきつつも、お互い満更でもない表情をしていた。 「二人はいつも一緒にいるって感じなんだ」 「ん? ああ、まあな。でもこいつ、気が抜けないところがあるから、面倒くせえんだ」 「気が抜けない?」 「勘が鋭いっていうか、何ていうか…。まあそのうち分かるさ」 「なんだよ、それじゃあ未緒ちゃんに僕のこと知ってもらえないじゃん!」 「はあ? 知るか、そんなの!」 「変な二人」  遥斗と拓人のやり取りをおかしく思っていると、不意に遥斗の頭をポンッと何かが叩いた。 「君達、予鈴はとっくに鳴りましたよ? 早く教室に戻りなさい」  遥斗の背後に目をやると、そこには出席簿で遥斗を叩く優一の姿があった。
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