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彼はもうろうとしながら再び目覚めた。
青く透き通る空が視界に入る。
それと同時に自分への憎悪が込み上げてきた。
(無力なくせしてしぶといな、俺……。)
痛みは感じる。
だが、以前よりは痛くはなかった。
視界がかすむ。
その時、視界の中に自分を覗き込むようにして取り囲む人影が四人現れた。
視界がかすむため、姿は分からない。
(……誰だ?)
いくら叫ぼうとしても声が出ないし、身体は全くと言ってもいいくらい動かない。
「これ、生きてるのか?」
男の声がした。
「それ以前に意識もあるぞ。瞳孔が動いているから間違いない。ヤバイ状態だがな……」
「内臓と左目、右腕……二頭筋から指の先までがアウトだな」
「よくまぁこんな身体で生きていられる。実験体はコイツで決まりだな」
彼は人影達の会話を聞き、初めて自分の状態が把握できた。
(内臓もやられてるのに生きてんのかよ。てか実験体かよ……)
彼には実験体などどうでもよかった。
どのみち自分は死ぬ。
それが必然的な事実なのだと察したからだ。
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