Prologue

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「素粒子濃度数は?」 「今測定中だ」 一人の男が手の平ぐらいの長方形の形をした薄いカード状の機械を取り出す。 先端からアンテナのようなものが伸び、それを彼に向け、機械中央のボタンを押した。 「素粒子濃度……ん?」 「どうした?」 「エラーだ。馬鹿げた数値が出た……もう一度測る」 男はもう一度機械を彼に向け、ボタンを押す。 しかし、結果は同じだった。 「またか……」 男は何度も測定し直す。 しかし、結果は何度繰り返しても変化しなかった。 次第に四人の表情が歪んでいく。 「機械の故障か?」 「いや、ちゃんと点検はしたんだ。故障などありえん」 「ちなみに数値はどのくらいだ?」 「…………」 「何を黙り込んでる?」 質問した男は気づいた。 測定した男の手が震えていることを。 そして、ゆっくりだが男は口を開く。 「……253.74」 「!?」 「生体基準値の十倍だと!?」 「信じられん……」 三人は驚きを隠せないでいた。 基準値の十倍……。 それは、『人なら既に死亡している』と、いう意味を示しているのだ。 「落ち着け!」 その時、一人の男が唖然とする三人に一喝する 「どうやらコイツは『特別』らしいな。大至急コイツを持ち帰り、体構造の復元、調整を行う」 『了解』 そう男が言うと、三人はすぐさま駆け出した。 そして、男は彼にぐっと顔を近付け口を開く。 「お前はこんな所で死ぬ器じゃない。俺が新しい場所と力を与えてやる」 (力…………。) 彼の意識は再び途絶えた。
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