雷跡2 帰れぬ道へ

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山城の部隊と佐賀の部隊が合流してから1分もしない時。 レーダーに映る機影にまた異変が起きた。 「スラッガー1より横浜へ、目標の不明機が2、3きの編隊に分かれて分散した。 攻撃体勢に入ったと思われる。 指示を願う。」 若干間が空いて返信が来た。 「こちらも確認したそのまま待機せよ。」 「了解。」 命令は変わらなかった。 しかし、レーダーには消えてゆく機体も幾つか見受けられる。 つまり、この下では戦闘が繰り広げられているのだ。 横浜を発艦する時に見た2万トンしかない空母。 誰もがここは何処なのかを知りたかったが誰も口には出さなかった。 10分ほどしてレーダー上にゲリラ式に別れた20機程の編隊が、我が輸送艦隊に向かっている機影が見えた。 「こちらスラッガー8の唐沢です。 隊長、もうすぐで7時23分です。」 「それがどうした。」 「歴史上では1942年6月6日午前7時23分に赤城に命中弾3 7時24分に加賀に命中弾4 7時25分に蒼龍に命中弾3発が飛来し、3艦共に海に沈みます。このままでは輸送艦隊が…」 「分かった。だがまだ待機命令のみで攻撃命令は出されてはいない。それに輸送艦隊には最新鋭のCIWSが備わっているから安心しろ。」 結局唐沢の言ったことを無視した。 だが言っていた通りに7時23分、2機の爆撃機とおぼしき機影が急激に輸送艦汐留に向かって高度を落として行った。 そして複数の爆弾を投下し、そのうち3発が命中コースを落下して行った。 ゆっくりと近寄る爆弾。 だが命中する遥か手前でレーダーから爆弾は消えた。 恐らく迎撃したのだろう。 待ってたとばかりに無線が入って来た。 「横浜より全機へ、只今我が輸送艦隊は米軍機の攻撃を受けた。 よって、目標機を攻撃墜せよ。」 「了解。」 佐賀と山城が同時に返事をした。 「スラッガー1からスラッガー隊全機へ、今の命令は聞いたな。 ポジションBの編隊で行け。」
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