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部下に命令を伝えた後、あまり考えもしない内にエンジンを全開にし、アフターバーナーを点火した。
「ゴーー---」
強力な2つのエンジンが唸りを上げた。
慣性の法則が働きかけ、激く背もたれに背中が食い込んだ。
「ドン」
衝撃波と共にキャノピー全体が一瞬白く曇り、音速を超えた事を知らせた。
休む暇も無く、短距離ミサイルの安全装置を外し、今度は横浜上空にいる米軍機をロックオンした。
「アムラーム改1、2番発射。」
「カチッ」
軽く発射ボタンを押した。
2本の白い噴煙が伸びていった。
打ちっ放し式な為、撃ったらあとはこちらが何をしようが自分で追いかけてくれるのだ。
そして、降下体制に入っていた2機を粉砕した。
人を殺した。
砕け散り、ゆっくりと海面に落ちてゆく残骸を見ながらそう思った。
その事を頭では理解していた。
だが、全くと言っていいほど実感がわかなかった。
今までも多くの実践を経験してきたからかも知れない。
だが、現代戦争は子供が遊ぶゲームと同じだ。
ロックオンしたらボタンを押す。
だだそれだけで3、4人が乗った飛行機が砕け散る。
しかし、後々自分がやってしまったことを考えようとした自分に気づき、バカバカしくなり、また次の目標をロックオンした。
「利根第3号偵察機より入電。
敵航空機動部隊発見。
空母3、軽巡5、駆逐艦20。
敵航空部隊も接近中。
指示を求むとの事です。」
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