雷跡2 帰れぬ道へ

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おかしい。 一瞬見ただけで南雲はそう思った。 確かに四角い長方形をした艦橋に、上部に白い球体を付けた物体などが有るが、それ以外にも何かが違う。 そうか、飛行甲板の先端部にも手すりが有り、艦載機を射出するカタパルトが無い。 ということは、この艦は空母ではない。 南雲はそう思った。 だが、何故なのかは、いくら考えても判らなかった。 しばらくすると、飛行甲板の脇にあるエレベーターから飛行機がせり上がって来た。 何故だ、どうして艦載機が在る?しかも見たことの無い形だし、プロペラが付いていない。どうやって飛ぶ? 艦橋にいた艦長や航海長、参謀長などは双眼鏡を目に押し当て、覗き込んでいた。 だが次の瞬間、艦橋が凍りついた。 「浮いた。」 ぼそっと誰かが言った言葉が聞こえた。 だが、誰も気付きはしなく、ただ呆然と眺めていた。 何故だ、何故浮いた? 中に水素ガスでも入っているのか? だが南雲の考えは打ち砕かれた。
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