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少しずつだが空に浮いた機体が加速していった。
そして、数分後には零戦とは比べて物にならない位の速度で8機ほどの編隊を組みながら雲の中へと飛んで行った。
数分後…
「敵戦爆連合発見。方位230。距離15000。数、30。ゲリラ式に展開しています。」
「先ほど飛び立った編隊か?」
好奇心からか、とっさに南雲が聞いた。
「いえ、米海軍の攻撃機です。」
「対空戦闘用意。」
兎にも角にも南雲は判り次第命令を下した。
「対空戦闘用意。」
復唱の声か聞こえ、ラッパの音が艦内に響き渡った。
「右舷後方魚雷接近、数2」
早くも敵からの攻撃が来た。
「面舵一杯。」
慌てて艦長が言った。
「面舵一杯。」
ゆっくりと艦が傾き、面舵を切った。
「艦後方50、魚雷通過します。」
2本の雷跡が、艦の後方を通り過ぎて、やがて消えた。
南雲はひとまず安心した。いや、艦にいた全員が一安心した。だが、敵は尚も攻撃した。それを日本軍だと思い込んで…
「不明艦上空急降下。」
「なに!」
艦橋内は混乱した。
「あの艦は敵ではないのか?」
誰もがそう思った。
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