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「敵機、爆弾投下。うち3ないし4が命中コース」
確実に沈むな。
南雲が双眼鏡越しに見た空には米軍機から投下された5、6個の黒い爆弾がゆっくりと落ちて行った。
空母は基本的に上面装甲が弱い。これはどの空母にも共通している事である。
何故なら空母は艦載機や、爆弾などの搭載物を載せ、燃料も積む。さらにその艦載機に乗るパイロットや整備士の居住空間や食料なども艦内に詰め込むのでどうしても上へ上へと高くなる。
もし、その上の飛行甲板に分厚く思い鉄板を乗せたら船体がひっくり返ってしまう。
そうならないようにするには横幅を広くすれば良いのだが、そんな事をしたら速度が落ちて、上面表面積が広くなるので、ただでさえ、対空砲の数が少ない空母にとってはかえって爆弾が当たりやすくなってしまう。
そんな事になるのだったら、まだ装甲を薄くした方が良いのだ。
ここで話しは本に戻る。
南雲は落ち行く爆弾を見ていた。
次第に高度が下がり、謎の空母に向かって落ちて行った。
「へ?」
また急に南雲にとてつもない謎が生まれた。
落ち行く爆弾が突如、爆発したのだ。しかも、1つや2つではなく一つづつ順番にだ。
「何故だ」
そこに居た者全員が思った。
南雲は双眼鏡を下に持っていき、今度はその空母を見た。
すると、さっき見たときには何なのか全く判らなかった白い球体の付いた物体が、とてつもなく速い連射で機銃弾を打ち上げていた。
「は、速い。」
すぐそばで打ち上げている機銃と比べてみても、排出される空薬筒からしてウサギとカメ、いや、チータとカメ位の差はあった。
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