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HRが終わると、薫はダッシュであたしの席までやってきた。
「もうっ、マジでビックリしたし!
何年ぶりよ!?」
「あたしもビックリしたよ。
元気だった?」
あたしが笑顔で聞くと、薫は思いっきり頭にチョップをかましてきた。
かなりの威力に、あたしは頭を押さえた。
「それはこっちの台詞!!
急にいなくなるんだもん!
しかも連絡1つ寄越さないし…」
最後の方は勢いもなく、目には涙が浮かんでいる。
あたしは申し訳なく思いながら、薫を見つめた。
「ごめんね。
ちょっと…色々あって」
あの時、お母さんはもう長くないと宣告されていた。
ならお母さんの故郷で、最期の時間を過ごさせてあげたいとお父さんが言い出した。
あたしはみんなと別れの挨拶をするのが嫌で、何も言わずにこの街を出た。
だから誰にも連絡すら取らなかった。
まさかまた戻ってくるとも思っていなかったから…。
俯きながら言ったあたしに、薫はまたチョップをかます。
だけど、今度のチョップは弱々しいものだった。
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