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「心配したんだからねっ…。
でも…元気そうで良かった…」
薫はポロポロ涙を零しながら言う。
この時あたしは、自分の身勝手なワガママのせいで、薫に心配かけていたと初めて知った。
「ホントにごめんね…。
でも、またこうやって薫に会えて良かった」
「うぅっ…透ぅ!」
薫はあたしに抱き付くと、ここが教室だという事も忘れて泣いた。
クラス中の好奇の視線を感じるが、かつての親友との再会に、あたしまで泣きそうになってしまった。
薫は授業が始まっても泣き続けた。
泣き止まない薫に先生は困り果てるし、クラスメート達はあたしに『何とかしろよ、この野郎』的な視線を投げかけるし…。
転校早々、悪目立ちしてしまい頭を抱えるが、ついニヤけてしまうのは、やっぱり薫とまた会えたのが嬉しいからだろう。
結局、薫は授業が始まって30分が過ぎるまで泣き続け、あたしと2人してクラス中に謝ったのは言うまでもない…。
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