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「飛鳥(アスカ)、早くっ!
姉ちゃん遅刻しちゃうから!」
「お姉ちゃん、待ってよー」
玄関先で年の離れた妹の飛鳥に向けて叫ぶあたしの名前は清水透(シミズ トオル)。
透なんて名前だけど、れっきとした高校2年の女子だ。
「気を付けて行ってくるんだよ」
「うんっ!
いってきまーすっ。
お父さんも早く出ないと会社に遅刻するよ!!」
「遅刻するよっ。
いってきまーす!」
あたしの真似をする飛鳥と一緒に、エプロン姿のお父さんに笑顔を向けて家を飛び出した。
あたしの家は、お父さんと妹と3人暮らし。
お母さんは元々身体があまり丈夫じゃない人だった。
周囲の反対を押し切って飛鳥を産んで、2ヵ月ほど前に亡くなった。
お母さんの静養の為に、元いたこの街を離れたのは中2の時。
お母さんの49日の法要が終わり、3年ぶりにこの街に戻ってきたのだ。
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