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あたしは担任の山本遥太(ヤマモト ヨウタ)先生に連れられて教室に向かう。
「えぇ!?
先生って意外に年いってるんですね。
見た目だけなら、小6の子供がいるようには見えないですよ」
「何か失礼だな。
まぁ、慣れてるからいいけど。
それより、無理するなよ?
何かあったらいつでも話くらい聞いてやるし」
実年齢と見た目の年齢に10歳は差がありそうな先生に驚きの声を上げてしまったあたし。
そんなあたしの家庭の事情を知っている先生は、少し心配そうな表情をしながらも優しく微笑んだ。
同情されるのは嫌だけど、何だか先生のは同情なんかじゃないような気がした。
「ありがとう、先生。
でも変な同情とかされたくないからこの事は…」
「分かってる。
内密に…だよな?」
あたしは頷いて、少し笑った。
そんな感じで他愛もない話をしながら廊下を歩く。
見慣れない校舎と窓からの景色。
それだけで何だか緊張感が増す。
これから2年近くここに通うんだな…なんて思っていた。
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