行き先≠北海道

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平凡な、何処にでもある、キングオブ並な県立高校。 そこの二年生は迫り来る豚さんインフルによる修学旅行中止の恐怖を乗り越え、空港の だだっ広い広場みたいな空間に学校行事らしく体育座りしていた。 眠いだのダルイだの言っている輩も見えるが案外そういう奴ほど楽しみにしていた奴が多かったりする。 まぁ中には本気で面倒がっている奴もいるがそれは希少種だ。 眠いと言っている奴は大方昨晩遅くまで、色々と旅のグッツを鞄に詰めていたんだろう 。 そう考えるとかわいらしい気もするが見た目がごつい兄ちゃんだとなんだか萎える。 そんな期待と朝特有の妙なテンションによって作り上げられた空間の中、例に漏れず微妙にハイテンションな一角があった。 「ついに修学旅行~!! つらいつらい中間考査を耐えたのは全てこの日のため!!! あぁ北海道の地は何処~!!」 このやたらとテンションハイな少女は明日香。 通称ヅラ子。由来は忘れた。 とりあえず某漫画が元ネタではないことは確かである。 可愛いのに扱いは悪い可哀想な子。ちなみに生徒会役員だったりする。 「その通り!! この日をウチはどれだけ待ったか……!!」 ヅラ……違った。明日香に同意したのは由里。 最近弟の今後の人生が心配というちょっと変った悩みを持つ、最近流行の歴女である。 「辛いクラスとウザイ担任。 ダブルパンチのウチの心の支えは長期休暇とこの修学旅行!!スキーは中学時代の置去り事件でいまいち良い思い出ないけど楽しみだった!!」 「青春やで!!」 ちょっと暗い影を背負った由里の発言に明日香がよくわからないコメントを寄越した。 彼女の思考回路は謎である。
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