行き先≠北海道

5/5
前へ
/29ページ
次へ
場面移り変わって現在平凡な高校ご一行は地上を高く離れて遥か上空にいた。 離陸の際、約一名やたらと大騒ぎして菊に沈められるという場面もあったがご愛嬌だ。 離陸後、機体が安定するとそそくさと皆各々仲のよいメンバーで集まってそれぞれ会話に華を咲かせている。 もちろん明日香達も例に漏れずである。 機体の後ろのほうの一角を陣取って無理矢理トランプしている。ちなみに大富豪。 席順としては一番後ろにちゃっかり窓際を確保した美緒とその隣に亜紀が、その隣列のの席に由里と菊。前に未弥と弘海、美緒たちの前に真理と明日香という並びとなっている。 戦況としては現在大富豪亜紀。 富豪美緒。平民に未弥、弘海 、菊、由里と続き貧民明日香、ど貧民真理となっている。 現在第2戦目。 「革命~」 『あ~!!!!』 『よっしゃあ!!!!』 亜紀の革命によって他のメンバーの両極端な声が上がった。 真理が項垂れている。 「今度こそど貧民脱出できると思ったのに……」 普段手札が悪いくせに、こんなときばっかり良い手札な真理。 今回はそれが仇になった。 その後亜紀は8切り連発でさっさと上がり、それに今まで数の低い手札で苦心していたが革命によって一気に強くなった未弥が続く。 その後由里、菊、明日香、一気に順位転落した美緒、弘海、そして真理が続いた。 「亜紀のせいやしー!!」 そう言って崩れ落ちる真理。 「真理ちゃんの戦略負けだよ。ねー」 「ねー」 亜紀と美緒の掛け合い。 真理を弄る会である。 そんな亜紀は真理の講義に何処吹く風だ。 そして崩れ落ちた真理を誰一人気遣うことなく、 「はい、真理」 笑顔で菊がトランプの山を渡した。 さっさと繰って配れということだ。 「くっそぉぉぉぉ~!!!!」 涙目で手札を集めて繰る真理。 他は雑談タイムに突入。 これが普段のパターンである。 しかし今回は普段のパターンという訳にはいかなかった。 ガクンッ 『……ッ!!??』 突然機体が大きく揺れた。 ピタリと騒がしかった機内が静まる。 そして次の瞬間。 バリバリバリッ!!!! 嵌め込み式の飛行機の窓が音を立てて激しく震えた刹那、機内が目を開けていられない程の真っ白い光に包まれ、全員の意識はそこで途切れた――。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加