生まれてきた使命NO.1

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オレは守るために生まれた存在―――オレに生きる力を与えてくれた、オレに自由を与えてくれた・・・・・オレに想いを託してくれた・・・・・その想いを伝えるまでオレは・・・・・ ―――――生き続けなければならない。 ――――――――――――――――――― 「ハァ・・・ハァッ!」 見覚えのある廊下を一人で走る。 背中に付いている純白の翼が風の抵抗を受け、よりいっそうオレに更なる疲労を植え付ける。 そう・・・此処は天界――――― 純白の翼を持つ、天使が住まう場所。ここでオレは生まれた。 ディザル・・・オレに自由を、力をくれた存在――――― ツカサ・・・オレにディザルへの守りたい、助けたい・・・・・・そんな思いをオレに託した存在――――― 全ては・・・ツカサの思い遣りから始まった。父親が天使、母親がヒト・・・そしてとある事件から悪魔の血をも所有する人間・・・ディザル。 全種族のマナを所有するディザルは膨大な力を身体に溜め込んでいた。 ディザルは双子でヴァリニという片割れが存在していた―――― 毎日共にいるのが当たり前だったヴァリニは・・・世界の理に殺されてしまった。 一卵性双生児は一人分のマナを分け与えるが為に、途中でガタがくる。最終的には片方にマナを明け渡して一人が生き残るか・・・両方とも朽ち果てるか・・・そのどちらかだ。 頭の良かったヴァリニは・・・既にその事を把握しており、身体にガタが来たとき・・・・・・ディザルに自分のマナを全て明け渡して滅されていった。 片割れがいなくなったディザルはこの世界を呪った。 そして・・・・・・ディザルはチノムの力を使い、天使の大量虐殺を行った。 その力を制御する片割れは既にこの世にはおらず、多くの人手と時間をかけて漸く抑え込む事が出来た。 それから一つの部屋に軟禁され、脱け出そうとも考えなかった。片割れを失い自暴自棄になってしまったディザルから・・・楽しいという気持ちは無と化してしまった。 そこで出会ったのが・・・ジールとフランカだった。 彼らはディザルが犯した大量虐殺の時、長い間遠い遠征へ行っていたためにディザルの存在を知らずじまいでいた。 何も知らない彼らは生きる楽しさをディザルに教えてやろうと決め、毎日内緒で部屋に訪れては時には厳しく、時には優しく接し続けた。
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