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「お前…本当にあそこの基地の補充兵なんだよな…」
「………肯定だ、無駄口を叩く暇があれば周りを警戒してろ…死ぬぞ…」
背筋が凍るような冷たい声に、運転手は一瞬、身震いした。
ちらりとバックミラーで荷台を見る。
そこには十歳、いくかいかないかくらいの少年が一人、いくたびの戦闘で焼かれ、荒れた荒野を見つめている姿が映った。
少年は荒野の色と同じ、灰色の髪をくしゃくしゃとかくと…
こっちをバックミラー越しに睨んできた…
あたかも…見られていることに気づいたかのように…
慌てて目線をそらす運転手。
……ありえねぇ
運転手は心の中で呟いた。
あの子供…尋常じゃねぇ
今まで何人も少年兵は見てきたが…
あんな殺気が放てるなんて常軌を逸っしてるッ!!
あれが…西で噂の《怪物》か…
あらゆる情況においてもいっさいの慈悲を与えず…
空気を吸うが如く敵を殺していく殺戮マシーン
それをこんな子供が…行うのだ…
冷や汗を流しながら、運転手は一刻も早く荷台の少年を下ろすためにアクセルを強く踏み込んだ…
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