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荷台の少年
アルス・グレイウォーカーは短くため息をついた
理由は自分自身でもよくわかっている…
あの運転手も俺を化物だとか、怪物だとか、思ってるんだろうな…
まぁ、死ぬのが普通で、生きることが珍しいここで、
俺みたいな子供が三年も戦ってれば…
奇異の目で見られるのも仕方ない
単純に、死なない一番いい方法をとっていただけなのにな…
いつの間にか怪物扱いだ…
俺はもう一度ため息をつくと、突然ガクンッと車が大きく揺れて止まった
「ほらよ、着いたぜ。とっとと降りな。」
こっちを振り返りもせず運転手はぶっきらぼうにそう言った
「………」
俺も何も言わずに荷台から飛び降りた。じゃりっという固い砂の感触。
次に、基地で忙しそうに立ち回る兵士達の喧騒が聞こえた。
「………」
周りを見る限り、どこの基地も似たようなところなんだな。
無数の深緑のテント、木を打ち立てただけの防護柵。
走り回る兵士達に、そのせいでひっきりなしに舞い上がる砂塵。
俺はゆっくりとその中へ歩を進めた。
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