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そんなエコレンジャーに今回も敗北し、情けない姿で撤退してきた私は、通称『ジェノサイドデスサウザー』。廃棄物不法処理団、極東支部支局長の肩書きを持つ、立派な悪の幹部である。
基地に戻った私は、見掛けばかりで機能性に問題大な装備を外すと、自分専用の椅子に深く腰を据えた。
「お疲れ様です。コーヒーをどうぞ」
すぐに秘書がコーヒーをデスクに置く。帰る時間を予め計算していたのだろう。コーヒーからは挽きたての良い香りが立ち上っていた。
「怪人ソダイゴミの容態は?」
コーヒーを一口飲んでから、秘書に訊ねる。ソダイゴミとは先程エコレンジャーにやられた怪人で、やられてすぐに回収され、今は治療を受けているはずである。
「ソダイゴミは幸い命に別状はないようです。しかし、重症には変わりありませんから……しばらくは入院でしょう」
それを聞いて安堵の息をつく。毎回撤退してきた時に気がかりなのが、必ず倒される運命の怪人の安否なのだ。過去には処置が遅れ、悲しい結果になってしまった者たちもおり、それだけが私の心配の種である。
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