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しょんぼりと部屋にもどる。
軽く片付いた部屋に、写真や小さい袋が転がっている。
「…何やってんだ、僕。」
散らかったそれを拾いながら、大きくため息をついた。
ラトビアの写真。
ラトビアの私物(拾った物)。
冷静に考えるとホントに馬鹿なことだと思う。
ストーカー。
だよ、ね。
「部屋にラトビア入れられないな…はは。」
笑えない。
笑えないよ僕。
自虐に浸っていると、急にケータイが鳴り出した。
みると、着信にはラトビアの文字。
すぐに切れたので、かけ直してこいという意味か、間違いか。
とりあえず、かけてみる。
プルルル…。
短い呼び出し音の後に、聞き慣れた高めの声がでる。
『はい。』
「あ、ラトビア?何か用?」
間違い電話でなかったことを祈りながら、平然をよそおって用をきく。
『あ、えと、さっきリトアニアさんと話して、今日は三人で外に食べに行こうって…行きません?』
控え目な、冷たくない彼の声。
顔が見えなくても、なんだか嬉しくなって、
「行くに決まってるだろ!」
と強くいってしまった。
恥ずかしい。
喜んでいるとばれたらやだな。
『なんですか?エストニアさんらしくない。』
電話の向こうで、愛しい笑い声がさえずっていた。
End.
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