165人が本棚に入れています
本棚に追加
「オレは、君が欲しいんだ。」
ああ、そうですかと返せば、全て終わるだろうか。
「…何をいうのです?」
かくり、と、首を傾けて。
人形のように、綺麗に、でも、目は笑わずに。
「私から牙を抜き去って、」
もう戦争しない。
戦力を持たないと、誓うようにいわれたあの日。
「首輪をかけて飼い馴らしているというのに、」
安保条約で、貴方に守られると、貴方の管理下にいると、決められたあの日。
「これ以上、何が欲しいのです?」
そう、私は貴方の人形。
貴方が笑えといえば笑う。
貴方が怒れといえば怒る。
貴方が死ねといえば死ねる。
「日本…どうしていつもわかってくれないんだ。」
切ないその声も、顔も。
私には関係ないんです。
なにかして欲しいなら、
いつものように、命令すればいいじゃないですか?
あの日のように。
End.
最初のコメントを投稿しよう!