野原シロ

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まっ白なボクは、ふわふわのわたあめみたいだと言われて、おいしそうだから、抱きしめられた。 あの日から、ずっと一緒。 『行ってきマスの寿司~~~。』 相変わらずの言葉と一緒に、しんちゃんは家から飛び出していった。 上着をつかんだまま、口に食パンをおしこんでいるところを見ると、今日も遅刻なんだろう。 特に今年は、しんちゃんのママいわく『ジュケンセイ』というやつだからさらに忙しくなったらしい。 たしかに、ここのところのしんちゃんは、僕にかまってくれなくなった。 しかたのないことだとしても、なんだかちょっと… うん。さみしいかもしれない。 こっちを見てくれないかな、と言う気持ちと、がんばれという気持ち。 その2つがまぜこぜになって、とにかく少しでも何かしたくなって。 小さくほえてみようとしたけれど、出来なかった。
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