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「……そして、美羽を本気で好きだった。たぶん、今も忘れられてない」
強く、そして何より
「忘れられてない、中途半端な気持ちで、俺は他の女に美羽の姿を重ねてる…。最低なんだ、俺。…………胸が…むしゃくしゃする…」
感情深い。
『………ん』
「……消したいんだ。記憶を、全て。」
考えが、幼稚なのか
大人なのか
それは俺にはわからないけれど、
俺は こんな事まで考えたことなど、
今まであっただろうか。
「……なのに、感情は」
いや、
なかったに等しいだろう。
『………感情は?』
「たとえ、記憶を忘れさる事ができたとしても、感情だけは…残る。」
感情だけは …残る。
『記憶がなくなったら、感じてきた事もなくなるんじゃ?』
「……過ごしてきた記憶は消えたとしても、感じてきた感情は、心のどこかに残るんだ。」
酷く、こびりつく
記憶よりも、重たい感情の方が、こびりつく。
心に、こびりついて
むしゃくしゃするんだ。
モヤモヤするんだ。
「……もう…全てが面倒臭いと思ってしまう。」
『………ん…』
山西、俺は
感情が残ったとしたら、
やはり記憶も残ると思うんだ。
感情だって、記憶の1つだと思うんだ。
記憶を忘れるなんて、不可能じゃないのかな。と思うんだ。
山西はそんなに、過去が許せないのか?
忘れたいのか?
不幸だけだったのか?
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