・窓の隙間から

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ Side~梨乃~ ―――――…… ――――… 中学2年の、冬。 私は大樹や葵のいる中学校に通う前、両親のもとではなく、おじいちゃんの家に預けられていた。 父親は会社の社長で、母親はその秘書。子育てなんてしてる暇もなかったので、母方のおじいちゃん家に預けられたのだ。 中学2年までは、おじいちゃん家で何事のない平凡な日々を過ごしていた。 普通の幼稚園へ通い、 普通の小学校へ通い、 普通の中学校へ通った。 ごく普通の女の子。 でもある日だ。 突然父親の部下の"日暮"と名乗る男が現れ、私にこう言った。 『梨乃様、社長がおよびになられています。すぐに、荷物をまとめて下さい。本家に戻ります。』 梨乃『………ぇ…?』 訳もわからず、私はとりあえず日暮さんの言う通りに荷物をまとめ、記憶にない本家へと向かった。 待っていた父は、私が目の前に現れてもまったく嬉しそうにも、今までほっといてごめんな。も言わずにこう言った。 『梨乃、お前には16になったら我社のために結婚をしてもらう。だからそれまでに、きちんとした礼儀を身につけなさい。梨乃、いいか?くれぐれも私の会社のために恥ることをしないように』 何……それ… 今まで放置しといたと思ったら今度は自分の会社のために親の決めた相手と結婚?!ふざけないでよ… けれど誰も逆らえない父の威圧感に負け、私はただ頷くしかなかった。 ・
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