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世に言う…イジメ…?
横澤『……ハハ…あーあ…上履き新しいの買わないとじゃん…』
大樹『…』
そうボソッと言うと、横澤は靴下のまま廊下を歩いていった。
大樹『……あいつ…』
こんな事されて、悔しくないのか?
相手が誰かわからなくても、俺なら悔しくてたまらないだろう。
なのに…
"…上履き新しいの買わないとじゃん…"って―…
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それからというもの、横澤は女子ほぼ全員にシカトされたり、陰でイジメられたりしている。
横澤はそれでも女子皆に今まで通りおはようと言うのだ。シカトをされても、何を言われても。
見て見ぬフリの最低な俺にも、今まで通り。
横澤『大樹っ!今日は放課後は手伝わなくていいよ』
大樹『…え?何でまた急に?』
横澤『十分手伝ってもらったし!ありがとねっ?また明日ね☆』
大樹『………横澤…やっぱ手伝うよ』
横澤はずっと笑っている。でも、笑っているけど、笑っていない。
何故か俺は、そんな横澤を放っておく事ができなかった。
横澤『っもう!大丈夫だって!だいたい私が無理矢理手伝わせてたんだし。今日は帰りなよ。ほら!皆今日は帰る人多いし』
大樹『………』
俺は、無理をして笑う横澤を見てイラっとした半面、悲しくなった。
こいつ、今
ひとりぼっちだ―…。
俺は黙って近くにあるハケを手に取り、看板の最後の仕上げを塗り始めた。
横澤『…大樹…』
大樹『……なぁ、俺、はっきり言ってお前欝陶しいし、苦手なタイプだけどさ、』
横澤『……う…ん』
大樹『俺、お前の事べつに嫌いじゃないよ。』
何故、今まで嫌な奴とか
苦手な奴とか思っていた相手を、いきなり嫌いじゃないって思ったかはわからない。
自分でもわからないけど
そう、思ったんだ。
横澤『……ん…ありが…とうっ…―グズッ…』
大樹『…って;泣くなよ!泣くなって!;』
横澤『うぅ~っ…―グズッ――…うぅーーっ…』
………あぁ。
俺、こいつ、嫌いじゃない。むしろ違う。まったく
気付いたら、目が離せない
そんな、自分がいた。
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