・君の温もり

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私は大樹から目を背ける事なく、じっと見つめて そう、言った。 大樹も私から目を背けはしない。 大樹『……俺じゃ、梨乃を救う事、できないの?』 梨乃『…ううん、少し救われたよ…』 大樹『……もう、俺じゃあ無理?』 私は大樹の問いに、 静かに頷く。 梨乃『……大樹…、ううん…野島君。』 大樹『………』 梨乃『―――今までありがとう。』 チャイムが鳴り、 廊下にはいつのまにか 人がザワザワと登校してきていた。 私は大樹を残し、空き教室を後にした。 ありがとう、大樹。 ひと時でも、私の心を満たしてくれてありがとう。 でもね大樹、 私達は結局別れなくてはならない運命なんだよ。 私は、親の決めた相手と結婚するのだから。 あなたも知っていたでしょう? もう、16歳になってしまうんだよ。 近いうちに婚約候補の方とも会うんだよ。 そして、好きでもなく なにも知らぬ相手と、結ばれる。心満たされることなどなく――… ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ・
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