・君の温もり

9/19
前へ
/244ページ
次へ
もっと他に、道があったはずだろう?…―と。 ―――――――――――― Side~沖田葵~ 葵『……梨乃、単刀直入に聞くね。』 梨乃『うん。何?』 現在昼休み。 場所、屋上。 私はやっと決心がつき、梨乃を呼び出したのだ。 葵『何で、何で大樹と付き合ってる事話してくれなかったの?』 梨乃『………』 葵『………答えて?』 梨乃『……言い出せなかったの…ごめんなさい。』 葵『…理由、それだけ?』 梨乃は私の問いに、 首を縦に振った。 葵『………大樹の事、好きなの?』 私はさらに疑問であることを聞いた。 すると どうだろう。 梨乃はしばらくの沈黙の後、首を横に振ったのだ。 葵『は?梨乃、好きでもないのに付き合ってるの?!意味わかんない!!』 梨乃『……違うよ、葵…』 違うって、何が…? 梨乃『…もう、野島君とは別れたから。』 別れた… …嘘…… 葵『……いつ?なんで?』 梨乃『今朝。理由は…』 葵『………』 梨乃『…言えない。』 葵『………』 梨乃『……ごめんね、葵が好きなの知っていて付き合ったりしちゃって…』 ごめんね……? 軽すぎだよ梨乃。 そんなんで、許してもらえるとでも思ったの? 裏切って 隠れて付き合って それで半年しないで 別れて、 今さら"ごめんね"? 葵『……梨乃の付き合う人は、私が決めることじゃないから。そこに文句は言えない。でもっ!友達である私に内緒だったって…どうよ?』 ねぇ、梨乃。 どうよ? 梨乃『………ごめん。』 葵『………最悪だったよ。大樹と梨乃が付き合ってるって聞いた時。梨乃は…特別な友達だと思ってたのにさ…ショックだった。何で私に知らせてくれなかったのかって、悲しかった。』 梨乃『……うん。私にとっても特別だった。……だからこそ、言えなかったの。仲が、壊れてしまいそうで…。』 ねぇ梨乃、 壊れてしまいそうで…って もう、壊れたよ。 私は今はもう、 梨乃を親友とは呼べない。 ・
/244ページ

最初のコメントを投稿しよう!

792人が本棚に入れています
本棚に追加