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けれどやはり真実は
いつも認めがたいもので
…―いつも俺を 裏切る。
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―――――――
――――…
―…‥
文化祭が終わり、数日の事だろうか。
帰宅途中、駅前で
一人の女と歩いている大樹を見た。
迷惑なことに、俺と大樹は家が近いため帰路も同じ。
むこうの2人は大樹の家へと向かっているのだろう。
俺の10メートルくらい前を歩いていく。
………これじゃ早く家に帰れないじゃないかよ…
しかもなんかストーカーしてるみたいだし;
そして数分、大樹達はようやく道を左に曲がった。
「………」
大樹、お前は 女にだらし無い男じゃないよな。
俺の知っている大樹は
バカなくらい一途な大樹だ
――――――――――――
時刻は確か、20時頃だった
お茶を切らしたため、
近くのコンビニに向かおうと、アパートを出た。
一番近いコンビニは大樹の家の前を通るのだが、通らなければよかった。
小さな十字路を右手に曲がり、4軒の家を越えた5軒目の家が大樹の家。
歩いていき、大樹の家の手前の家の前に差し掛かった時だ。
俺の目に映るのは
夜の暗い中、街灯が微かに明かりを照らす住宅街で
確かに唇を重ねる男女。
駅前で見た、女と大樹だった。
けれどキスくらい、と。もしかしたら新しい彼女かもしれない。
そう、認めたくない自分がいる。
俺の足は自然と止まった。
2人の唇はなかなか離れることなく、何度も何度も重ねてゆく。
このシーンは、まだ唇を合わせたことすらない俺には、少し刺激的だった。
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