第4章・操られるがままに

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――――― ――――――― チクタク チクタク チクタク チクタク… 美和子『……陸くん、いつ頃こちらに?』 千代『………昼過ぎです。』 美和子の問いに素っ気なく答える千代。 チクタク チクタク… 時計の秒針の音が、静かな空間に響いている。 美和子は千代の出した紅茶を手にし、ソファーに腰掛けている。 千代『……。美和子さん』 美和子『はい?』 千代『息子を、貴女に差し上げるつもりはございませんので。悪魔で、手助け。そして息子と夫のためです。』 美和子『……えぇ。』 チクタク チクタク チクタク… ―――― ―――――――――― ―――……… ―――… 懐かしい香りだ。 俺は地元の駅につくと、深呼吸をした。 やはり田舎の空気はおいしいな… そして携帯に表示されている時間を確認した。 「…思ってたより早く着いたな。ゆっくり歩いて帰ろっかな…。」 5分ほど歩いたとき、いきなり誰かから話かけられた。 ?『おーいっ!山西~っ!山西だろ!?』 「……あ……緒方?」 緒方『なーんだ、地元帰って来たんだ?』 「あぁ、ちょっと用事でね。緒方もか?」 緒方『あぁ。それより、もう優也と姫の事は大丈夫なったか?』 「……わからない。」 緒方『……そっ…か。じゃあ、俺急ぎだからまたな!』 「…おう。」 ………びっくりした… いきなり誰かと思ったよ… 本当緒方とは偶然でよく会うなぁー… それからは、誰と会う事もなく、家に着いた。 ドアを開け、玄関に足を踏み入れる。 「…ただいま。」 靴を見ると、黒いハイヒールがキレイに揃って置いてあった。 「………」 そして、リビングのドアノブに手をかける。 カチャ―… 美和子『…待ってたわよ、久しぶりね陸くん。』 「……久しぶり です。美和子おばさん……」 ・
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