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美和子おばさんが帰り、俺とお袋が残された空気は
かなり堅苦しく、重い空気になっていた。
「なぁ…お袋…」
千代『………』
「……断って、このまま今まで通りの生活はできない。……それくらい、俺もわかる。」
千代『……』
お袋はずっと下を向いたままだ。
「……それに…俺には、将来の夢とかはない。あんな大企業の跡取りになれるなんて、信じられないくらいイイ事だよ…。」
千代『……』
「………今晩、考えておくよ…」
千代『…………ごめんなさい…ごめんなさいね…』
――――――…
――――…
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Side~梨乃~
パーティーも終了し、私は帰宅途中の車の中で
今日、父に言われたことを思い出す。
”7月下旬”
婚約候補の方とお会いすると言われた。
私は何故、”嫌”と素直に言うことができないのだろう。
何故、いつも断るということをしないのだろう。
父を恐れる自分に、
未来を諦める自分に
何だか無性に、腹が立つ。
大人に歯向かえず、ゆくままの時に身を任せて
自分の意志を無視して
だから私はいつも、
運命を、変えることができないんだ。
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