・操り人形

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Side~大樹~ 今日もまた、 違う女を抱いた。 相手は高校の先輩。 言い寄ってきたから 適当に抱いてやった。 正直女は面倒臭いなと思った。いちいち甘い言葉を囁かないとヤダとかいう女もいた。 けれど、今の俺は 性欲の処理でしか、心のむしゃくしゃが消えなかった。 部活もサボり、授業もサボり。遅刻はするわ欠席もするし早退もする。 授業に出ても寝ている。 ハハ…この調子だと退学だなぁー…俺… 俺の中弛みは早くきたみたいだな… もう、俺は目茶苦茶だ。 もう、前の俺に 美羽だけを見て、 バスケに集中して、 バカみたいに クラスメートや男友達と 騒いでいた俺には もう戻れない。 それを、そんな俺を 葵は……まだ"好き"だと言うんだ。 俺を"好き"だと。 だから、前みたいに 戻ってくれと。 今日も、たぶんまた 葵は俺の部屋にきて こう言うだろう。  "やめる気になった?"  "私は、本当に"  "前の大樹に戻ってほしいんだよ。純粋だった頃の大樹に。大樹が女遊びなんて、似合わないよ"  "お願いだよ…大樹。"  "……私は、大樹が好きだから。だから、お願いだよ" そう、言いにくるだろう。 >>ピ-ン…ポーン… ほら、来た。 ―――――… ――――――――― 『…………え?…横澤…』 俺の部屋に入ってきたのは、葵だと思っていたが違う。 横澤…。 横澤めぐだった。 俺が、初めて抱いた女。 そこまで好きでもないし愛してもいないのに抱いた女が、 俺の目の前に立っていた。 ・
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