792人が本棚に入れています
本棚に追加
Side~梨乃~
私は父の秘書に連れられ、父の見舞いへと病院へと訪れた。
あの日、父が倒れた時。
周りにいた人達はかなり焦ったりしていた。
けれど、一応娘であり1番近くで倒れたそれを見た私は周囲の人の中できっと1番冷静だった。
焦ることなく、冷静に携帯を取り出して救急車を呼んだ。
…なのだから、
べつに見舞いなんて来たくなかった。来る必要もないと思う。
まあ秘書の人が行きましょうと言ったから仕方なしに来たわけだけど…。
病院のロビーにつくと、病院らしい…消毒液だろう、鼻がつんとする独特な臭いがする。
?『すいませんっっ』
………?
聞いたことある声…
私は受付で看護婦に話しかけている子を見た。
梨乃『……え…』
少し癖のあるポニーテールに、Tシャツ、ショートパンツに低めのヒールを履いた女の子。
私がよく知る人物だった。
梨乃『………葵』
そして葵の後ろを通り過ぎようとした時、
葵『野島大樹君の病室をお願いしますっ』
看護婦『はい、えーと……野島大樹…あ!あの子ね!びっくりしたのよいきなり血を流して"刺された"って来てねぇ…あ、部屋の番号は201号室ね。』
葵『ありがとうございますっ!』
……刺された?
野島大樹
大樹が…刺された
一体、誰に……?
何があったの…?
秘書『……?お嬢さま?どうかなさいました?社長の病室はこちらですよ。』
『あ、はい。すいません大丈夫です。』
ぼーっと突っ立てる私に秘書が声をかけた。
我に返り、秘書のあとをついて行こうとした時…
>>ドンッ―…
梨乃『?!』
『キャ…―っごめんなさいっ』
背中に何かがぶつかったかと思い、振り向くとそこにいたのは、葵だった。
葵『………梨乃…』
梨乃『……葵……』
秘書『お嬢さま、お知り合いですか?』
梨乃『………ええ…』
葵『…"お嬢さま"…?』
あ…そうか…
葵は私の家のことを知らないんだ…。
梨乃『なんでもないの。それより葵…何かあったの…?』
葵『……大樹が…―っ――…ううん、何も。じゃあ私、急いでるから!』
梨乃『………』
・
最初のコメントを投稿しよう!