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葵『……ナイッシューット!!……大樹。』
大樹『サンキュ…』
葵『何してんのー?』
大樹『……"さよなら"って、バスケ。最後に一度、すっきりさせたくて。』
私は大樹にボールを渡し、体育館内をうろうろした。
葵『…で?すっきりしましたか?』
大樹『……ああ。……なんて……違うよ、嘘だ。すっきりなんか、しない。』
葵『そう…』
大樹『…すっきりするどころか、何だか余計、未練が残った気がする。』
大樹は辛そうに視線を下に落とした。
葵『……』
大樹『でも、無理矢理にでも未練を無くすよ。……バスケはどうせもうできないんだ。いっそのこと、嫌いになれば未練も無くなる。』
嫌いになれば
葵『…ハハッ…本気?』
大樹『本気だよ』
私は大樹の目の前に勢いよく行き立ち、大樹を睨んだ。
葵『大樹あんたはばっかじゃないの?!』
大樹『…っは?!;』
葵『バスケを嫌いになる必要まではないじゃない!!だいいち、大好きだったバスケを嫌いになるなんて無茶よっ!』
大樹『っんなの仕方ねーだろーーよっ?!じゃあどーしろってんだよ!!』
葵『仕方ねーって何さ!大樹あんた男でしょ?!男なら諦めてんじゃないわよっ。頑張ってリハビリして治療受けて、またバスケやればいいじゃない!!』
大樹『……っ…』
葵『前みたいに完璧にバスケできなくても、目茶苦茶走れなくても、バスケは趣味でもできるでしょ?!バスケ付き合ってくれる友達くらいいるでしょ?!』
なぜ、ここまで
熱くなったかは自分でもよくわからないけど
とにかく、必死だった。
私は、バスケをやっている大樹も、大好きだったから。大好きだから。
葵『ハァッハァッハァッ―…っ。………お願いだから、諦めないでよ……。』
大樹『………っ――』
葵『………』
大樹『…………――』
葵『………』
大樹『…………葵……』
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