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葵『……なに?…』
大樹『……明日から、』
葵『………うん…?』
大樹はバスケットボールを床に転がし、車椅子を出口の方に動かしながらこう言った。
大樹『…リハビリ、付き合ってくれよな。』
葵『…!!―っ――もちろんだよっ!』
よかった。
よかったよかった―…
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
Side~陸~
翌日、学校に着くと、まだ一人しか来ていなかった。
「……おはよう。」
梨乃『あ、おはよう。』
「今日は早いんだな。」
梨乃『山西くんこそ』
「ハハ、今日は早く目が覚めちまってさ。」
梨乃『ハハハ、私もだよ』
俺は、爽やかに笑う彼女を見たあと、少し目を反らした。
「……昨日は、ごめん。」
梨乃『あぁ…、べつに大丈夫よ、全然。…でもね…あの……』
「……?」
梨乃『その時言っていた、"みう"って、誰?』
"みう"って、誰?
俺は少し戸惑ったが、冷静に答えた。
「幼なじみでイトコの、同い年の子だよ。………生きていれば…ね。」
梨乃『……え……、死ん……だの?』
「……死んだよ。」
梨乃『……ごめん。』
「…気にしないで。」
何だか空気が重くなっちゃったな…。
俺は教室の天井を見ながら別の話題にしてみた。
「……今日…は」
梨乃『……?』
「いい、天気だな。」
梨乃『……雨…だよ?』
「あー…雨は好きなんだよ俺。」
ヤバイ。
完全に俺変だ…。
梨乃『そうなの?』
「……いや、ほんとは、雨は嫌いだ。」
梨乃『フフフ、何それ。私も雨は嫌いだな。』
「俺は」『私は』
陸、梨乃『「くもりが1番好き」』
あ、ハモった……。
梨乃『……ップッ―――アハハハッ―…』
「ハハ、見事にハモったな。」
何だか周りから見たら、絶対"何て初々しいんだ"と思うだろう。
恋したての、中学生みたいだ。
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