・糸、解く

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どちらが本当なんだろう。 美羽と岡本を重ねている自分と、岡本自身に惚れている自分。 どちらが、本当の気持ちなのだろう。 好きなのは確かなのだ。 でも、それは岡本自身を好きなのか 美羽に似ているから岡本を好きなのか。 どちらなんだろう。 梨乃『そういえば、山西くん。何で海嫌いなの?』 …あぁ、何の事かと思ったら… 自己紹介の時言った事か。 「海は……美羽と5才の頃初めて会した所で…美羽が、死のうとした所なんだ」 梨乃『……あ…なんかまただね…ごめんなさい』 「別に、言いたくなければ"何でもない"って言うさ。謝るなよ」 言いたくなければ。 俺は正直、今の自分のセリフに驚いた。 言いたくなければ 半年前までは、思い出したくもなくて、辛くて悲しくて、簡単に言い出せなかった事を 美羽の事を知らない人に話せるなんて 人間の感情の変化というのは、恐ろしいものだ。 いつから俺は、 岡本を少しも拒絶しなくなったのだろう。 それどころか、自分から関わりたいとまで思っている。 ↓P163参照 梨乃『…大樹がね、前に言ってたの。"陸は自分の好きな女と梨乃を重ねてる"って。好きな女の子って、美羽ちゃんでしょ?』 「……ああ。」 梨乃『美羽ちゃんって子…どんな子だった?』 どんな子だった? 美羽は… 「美羽は……寂しがり屋でいつも誰かの温かさを求めていた。誰かしらに愛されたがっていた。表上では明るいいい子。でもどこかで助けを求めていた。 多忙な親を持ち、小さい頃からずっと寂しい思いをしてたんだ。 だから、俺がずっと傍にいた。 けど美羽には好きな奴がいた。 そいつは俺の親友。 でも美羽は諦めた。 何故なら美羽は、自分が長く生きれないのを知っていたから。心臓病だったんだ。 まだ中学生だった美羽には余命があった。もって半年…だ。 美羽は、自分の気持ちに素直にならないで、嘘ばかりついていた。 とにかく、いい子だけど、人一倍寂しがり屋だった」 梨乃『…美羽ちゃんって子と会ってみたかった。私に、似てる気がする。私も自分の気持ちに素直になれないの』 ああ、似ているよ。 とてもよく似ているよ
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