・糸、解く

13/19
前へ
/244ページ
次へ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 自分の、好きな子が死んでしまった。 私なら絶対に、忘れられないし、立ち直れないだろう。 山西君もきっと 一生忘れられない。 そしてきっと今も 苦しんでいる。 彼女とは、何があり、どんな一時だったのか。 私は、山西君の過去を知らない。けれど、山西君の事をもっと知りたいと思ってしまうのだ。 "もっと知りたい"。きっとこれはとても自然な考えで、誰でも経験したことのある事だろう。 好きな人の事を、もっと知りたい。 けれど、知らなくていいこともあるんだね。 ………まさか運命の歯車が、こんなハズレかたをするなんて Side~17歳の梨乃~ 私が、"結婚したくない" なんて言っていなければ 山西君は私から離れて行かなかったかもしれない。 おとなしく、運命に身を任せておけばよかったのだ。 ねぇ、山西君… ……何故、学校でも私を避けるの? べつに親の前だけでいいじゃない。 何故? 私を、嫌いだから? あの時ちゃんと、"山西君が好き"と伝えるべきだったの? ………山西くん。 山西くんは、今も… 美羽ちゃんって子が………好きなの? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ Side~陸~ 翌日の放課後。 俺はある人に、電話をかけた。 >>はい、桜田です。 「あ、もしもしこんにちは、美知子おばさん。山西です。山西陸です。」 >>あら、どうしたの?珍しい。 「……ちょっと聞きたいことがあって。」 >>いいわよ。何? 「…僕の縁談相手の会社って、どちらですか?」 ――――――――… ―――――… ・
/244ページ

最初のコメントを投稿しよう!

792人が本棚に入れています
本棚に追加