・糸、解く

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そして数分後。 SH(ショートホームルーム)のため、担任が教室に入ってきた。 先生『えー…皆さんおはよう。欠席は…いないみたいね。』 それからしばらく、先生の話が続き、SHは終了… 先生『あ、山西君はこの後私のところに来なさい。』 「…?…はい」 何だ? 明『お前なんかしたの?』 「………さぁ…」 明『……さぁ…って;』 ―――――――――――― SHが終わり、担任の元へと向かった。 先生『そこ座って』 「………」 俺は言われた通り、とりあえずそこにあったパイプイスに腰掛けた。 先生『山西君、これはどういう事?』 …――バサッ 俺の膝の上に乗せられたものは、作文用紙。 それも、文字一つもないキレイな作文用紙。 「…あ……」 先生『"…あ…"じゃないわよ。みんなちゃんと書いてるのよ?あなたぐらいよ白紙で提出したのは。』 「……」 先生『将来の夢くらいあるでしょ?』 「……ない…ですね…」 俺のその返答に、先生はため息をつき、他の人が書いたであろう作文を見せてきた。 「………」  将来の夢       岡本梨乃  私の将来の夢は、好きな人との、幸せな家庭をつくることです。  私は将来、親の決めた相手の人と結婚します。けれど、正直凄く嫌です。何故なら、私はその相手のことを知らないし、好きなわけでもない。相手側も私を知らない。そんなの、おかしいことだと、私は思います。……      :      :      : 「………」 先生『…岡本さんは、可哀相だと思うわ。親の決めた人との結婚。最初それ読んだときは、びっくりしたわ。まだ、高校一年生なのに……。』 まだ、高校一年生なのに そう、俺達はまだ 高校一年生なのだ。 先生『それでもちゃんと、他の女の子と同じような夢を持っているのよね…』 「……他の女の子と、同じような夢?」 先生『そのくらいの年頃の女の子の夢はね、退廷は"好きな人のお嫁さんになること"なのよ。』 .
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