第5章・ジュリエット

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 ”絶対だ” 岡本と深く関わってはならない。 いやだ…。 けど、岡本が好きでもない俺と結ばれるよりは… 断然、いい。 「はい。わかりました。………ただ…」 社長『ただ?』 「もし、梨乃さんに好きな方が…愛している方ができた時は、無理に違う男性と結婚させるのではなく、話を聞いてあげてくれませんか。」 梨乃『……山…西くん…』 社長『……君は、少し立場をわきまえたまえ。…松井、さげてくれ。』 松井『桜田様、山西様。』 美知子『……では……契約のほうは…なし…ということですか…?』 社長『はい。おひきとり下さい。』 美知子『………――』 これで、いいんだ… いいんだ… これで。 岡本…梨乃…。 好きになるべき、相手ではなかったのか。 何故、いつ、俺は彼女に恋をしたのだろう。 まさか、”関わるな” とまでなんて、言われないと思っていた。 ロミオとジュリエットじゃあるまいし まあ、両想いでもないのだけれど…。 なあ… 岡本が社長の娘じゃなければ、どうなっていただろう 美知子おばさんが、社長じゃなければ、どうなっていただろう どうなって、いたと思う? ”関わるな。絶対だ。” こんなことになるくらいなら、恋なんてしなければよかった。 こんなことになるくらいなら、岡本に出会いたくなかった。 出会わなければ、大樹と岡本はまだ続いてたかもしれないし、誰かが泣くこともなかった。 岡本が悪いんじゃない。 踏み込んでしまった、俺がいけない。 結局俺は
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