第5章・ジュリエット

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深く他人と関わらないと言っときながら 周りを振り回し 不幸に導く。 笑顔を奪い、涙を与える。 俺は、疫病神なのかもしれない。 もう、疲れるよ… いい加減…疲れるよ… 俺はどうして、幸せを与えられる人間になれないのだろう…。 なあ、美羽、優…。 これが神様からの、天罰なのか。 優に嘘をつき 美羽を守れずに 2人を死なせてしまった、罰なのか…? どうして 幾度となく、同じ人生を歩まなくては ならないのですか? ――――――… ―――… 美羽『ねえ、陸。』 あぁ、まただ… また、あの時の 真っ白の……空間。 そして…美羽の姿…。 美羽『……陸は、自らその道を選んだのよ?』 「………え?」 美羽『…………陸……』 ―――――――……… ―――――… ――… … ……なんだ、夢…か。 目を開くと、そこはまだ車内だった。 窓から外を見ると、夕日が沈みかけているのがわかる。 視線を横に移した。 美知子『………陸くん…』 「……はい…」 美知子『……私の会社はもう、終わったも同然だわ…』 「…………勝手な我が儘、発言…大変申し訳ありませんでした。……謝って、済む問題ではないですよね…。」 美知子『…………―…。陸くん…。』 「……はい」 美知子『………私、いったい今まで…何のために生きてきたのかしら…。何のために会社を設立して、友人と共に社長やってきたのかしら…』 「……え…?」 美知子『……私は、お金と地位を手に入れた。……でも、なんだか……今になるとまったく、嬉しくないのよね…。』 「………」 美知子『………私は、自分勝手な大人よ…』 『………私が無理矢理千代さんを脅してまで陸くんを跡取りにしようとした。それよりも前に…私は……』
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