第5章・ジュリエット

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ Side~梨乃~ "プライベートで関わるな" あれから数日後。 何事もなかったかのように 周りはいつもどおり。 けれど、私は違う。 もう、山西くんと 関わることが 許されない 私にとって それがどんなに大きいことか。 けど、仕方ないよね。 だって、山西くんの ためだもの 山西くんが 私を好きじゃないのなら 結婚はできない。 山西くんの意志もある。 だから 仕方ないことなんだ。 また今日も いつもと変わらぬ生活を 過ごすしかない けれど… 私と山西くんは 同じ学校。そして 同じクラス。 絶対関わるななんて 無茶だわ。 でも、 学校ではべつに プライベートじゃ… ないよね……? 話くらいは あいさつくらいは しても 構わないでしょう? 山西くん…。 学校の下駄箱まで 行くと、たくさんの生徒たちも登校してきた。 後ろを振り返る。 梨乃『………山…西くん…』 後ろには 山西くんの姿があった。 目があった。 梨乃『………あ…の』 話かけようとした。 けれど山西くんは 私と過ごした日々も 仲良く話を交わした日々も まるで 最初から仲良くなかったかのように 私の横を通りすぎて "おー明。おはよ" と、私じゃない 友達のもとへ 向かった。 梨乃『………』 一人ぼっちだということに 気づいた。
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