・君という幻

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式が始まり、数十分。 遂に俺が舞台に上がり、新入生代表の言葉を言う時がきてしまった。 体育館に響く司会者のマイクに通った声が俺の名を呼んだ。 司会者『新入生代表、1年B組。山西陸。』 フゥ―… 俺は小さく息を吐き出し、普段より大きな声で返事をした。 「はい。」  …・*・*・*・… 舞台の上は思った以上に人の視線が集まり、 目線のやり場に困ったが、俯いてもくもくと読むのはさすがに…と思い、 仕方なく俺はチラチラ紙を見ながら、なるべく会場を見るかたちで終わらせた。 その時視界に入った大樹が口をポカーンと開けて寝ていたのは言うまでもないだろう。 そして何事もなく、長たらしい退屈な入学式が幕を閉め、現在、教室でHRをやっている。 先生『皆さんお疲れ様。ではさっそく、一人一人自己紹介をして貰いましょう』 先生の言った後と同時に生徒がザワザワと騒ぎ、 イヤだの面倒臭いだの を口にしている。 俺は口にはしないが、皆と同じ心境だ。 ・
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