792人が本棚に入れています
本棚に追加
静まり返ったままのバスの中に、一人の手の平を合わせパチパチという
温かな拍手の音が響き、
だんだんとその音は増えていった。
「…………ぇ…」
何で
みんな拍手をくれた?
梨乃『山西くん…歌……上手だね…。正直、びっくりした』
え……?
俺、声がめちゃくちゃ裏返ったりしたよな…
上手なはず…
梨乃『……山西くんの歌、心にくる。温かくて、心地よかった。』
「嘘だ…」
梨乃『嘘じゃないよ。本当に!山西くんは将来歌手ね、決定!』
…………は?;
何言い出すんだよ急に;
つか
「歌手は無理な将来だな」
梨乃『何で?』
「岡本さんには関係のないことだよ」
そう。
関係のないこと…
何故なら
まだ俺にも
自分の将来がわからないから。
彼女に言うものもない。
歌手などは興味ない…。
小さい頃は眼鏡のしくみを研究する人になりたいと一時期言っていた記憶があるけどな…;
今は何もない
俺は将来 何になるのだろう。
・
最初のコメントを投稿しよう!