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一年生の教室は、二階の渡り廊下を通りぬけ、三階にある。渡り廊下の外は、中庭が見えた。
何組かの上級生らしき集団が、中庭の桜の周りにいた
ミチルが、私の視線をたどり中庭を覗き込んだ。
「あ、あの人かっこよくない?」
ミチルは、一組の集団を指差した。
「え~、どの人?」
私は、ミチルの指差す方を見た。
「ほら、あの集団の右の方にいる人。あ、ほら、今髪かきあげてる人!」
「…そうかなぁ?普通じゃない? 」
ミチルは、私の普通と言う言葉に口を尖らせた。
「葵は、かっこいい基準が高いんだよ。あの人十分かっこいいって!大体さぁ、葵の好きなタイプってどんなの?」
ミチルは、窓に寄り添いながら、悪戯そうな笑みを私に向ける。
「はいはい、かっこいいねあの人。っていうか、私はタイプとか関係ないし、理想が高い訳でもないからね」
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