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「キョウ。君はまだ嘘をついているね。まぁ今の君に言っても無駄だろうけど」
一人泣き続ける彼をよそに竜さんは話を続ける。
「俺達、君だけじゃなくミホちゃんにも話聞いてるんだよ」
…………
「そこでね、彼女が言ったのは
「キョウさんは私がいたから悲しんでいるんです」
だって。この言葉の意味、君に分かる?」
「……意……味?」
自分の言葉を他人から話される、というのは何ともむず痒い感じがした。
「そう。彼女はその後こうも言ったんだよ。
「私の存在そのものがキョウさんを苦しめている」って。
「私がキョウさんに関わらなかったら良かったんだ」って」
「に、西野がそう……言ったのか……?」
間違いなく自分の言葉。私の決意。
「そうだよ。それと
「キョウさんは私がお母様と同じ寂しい思いをしないように、私を突き放してくれました。私が部屋から追い出された後、キョウさんも泣いてるのが聞こえました」
だって。ほら、君は嘘をついていただろ?」
「もうミホちゃんは覚悟を決めてたみたいだよ。……自分からキョウから離れようとしてる。きっとまた会えると信じて」
信じる……。なかなか難しいことかもしれない。だけど私は……私だったら彼を信じ切ることが出来る。……いや、信じたい。
「信じるなよ……!俺なんか……を……。何で……何でお前はそこまで……真っ直ぐでいられるんだよ……!」
「キョウも真っ直ぐになろうよ。どれだけ時間がかかっても良いから。真っ直ぐになろ?それでまたミホちゃんを迎えに行ってあげよう?」
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