悲しみの中で

5/12
前へ
/43ページ
次へ
「そういえば、今頃はキョウさん達のクラスは何かやってるんでしたっけ」 竜さんとあゆさんが言っていた。「一日もらったから送別会やるんだ」って。 その為に勿論集会には出ていなかった。 「……会うなら今日が最後、ですね。でも……竜さん達に伝えて欲しいことは言いましたし……」 私の頭に浮かんでくるのは、彼のこと。彼と過ごした日々。理性で押さえようとしても無駄なことだった。 一つ一つ何かが思い出される度に、涙が零れ落ちる。 「……少し、一人になりたい」 私はこの時間なら誰も来ないであろう屋上に向かった。 私には少し重いドアを開け、屋上に足を踏み入れる。 案の定誰もいなく、ホッとした。 それでも更に誰にも見つからなさそうな場所を見つけてしゃがみ、顔を埋める。 この後もまだHRが残っている。だけど、そんな事はどうでも良かった。 今はただ、彼のことを思って思いっきり泣きたかった。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

906人が本棚に入れています
本棚に追加